傷こそ愛おしい。鹿の生き様を纏う−NELSON DEER LLOYD

2024SSコレクションで登場したSUNSET BAYのサマープロダクト、「LLOYD(ロイド)」。
NELSON DEERのNATURAL SKINを使用したシャツとカーゴショーツは、カジュアルになりがちな夏のコーディネートを格上げしてくれる存在だ。

NATURAL SKINの魅力。その傷は、生きた証

NATURAL SKINとは、その個体が生前に負った傷やダメージを、ありのままに活かした革のことだ。

通常の革製品では除去される生前傷、クレーター、銀面の剥がれ、擦れ傷などを、あえて表情として残している。
走っているときについた傷なのか、鹿同士の喧嘩で負った傷なのか。
一頭一頭の鹿が持つストーリーを、そのまま身に纏うことができるのである。

その強烈な個性と生きた証を表現することで、単調になりがちな柔らかい革に、唯一無二の表情を与えている。

細部までこだわり抜いたデザイン

NELSON DEER LLOYD SHIRT

独創的な素材だけでなく、デザインの細部までこだわるのがSUNSET BAYのプロダクトである。
LLOYDシャツは、ユーティリティシャツをソースとしながら、SUNSET BAYらしい個性を加えた逸品。
最大の特徴は、胸ポケットの仕様である。
通常のユーティリティシャツならフラップ付きの角張ったポケットが定番だが、LLOYDではプリーテッド(ひだ)デザインを採用。
この複雑な加工を美しく仕上げるには、相当な技術と経験が求められる。

襟はオープンカラー調に仕上げられており、片側にボタンが配置されているが、実際には受けのボタンは付けていない。
あくまでオープンカラー風のデザインとして楽しむ遊び心のある仕様だ。

ボックスカットのシルエットと広めの袖口は風通しが良い。
革製品でありながら、夏に着用できる快適性を追求している。

革ジャン用のNELSON DEERとはまったく異なり、0.7mmまで薄く削がれた革は、シャツとして着用するために特別に調整されたものだ。
この薄さを実現することで、刻一刻と変化する表情を楽しむことができる。

NELSON DEER LLOYD PANTS

カーゴショーツにも多くのこだわりを詰め込んだ。
VINTAGEのGURKHA SHORTSを基軸に両サイドにフラップポケットを配備。
2本の深いタックを入れることで、美しいドレープと落ち感がエレガントさを引き上げてくれる。
そして注目すべきは、長尺の革を贅沢に使用したウエストベルトの存在。
革業界の関係者なら「ここまでする必要があるのか」と思うほどのこだわりである。

前脇部分は隠しドットボタンで調整できる仕様となっており、ウエスト周りの調整もすべてドットボタンで完結する。機能性と美しさを両立させた設計といえるだろう。

「傷こそ愛おしい」という哲学

LLOYDシリーズに込められたメッセージは、「傷こそ愛おしい」という革への愛情である。
完璧で均一な革ではなく、その個体が生きてきた証である傷やダメージを、むしろ美しさとして捉えている。
これは単なる素材の選択ではなく、革というマテリアルに対する哲学的なアプローチだ。
その革の「生き様」を纏い、命へのリスペクトと感謝を最大限に感じられるだろう。

NELSON DEER LLOYD SHIRT BLACK
NELSON DEER LLOYD PANTS BLACK